澤村・スペンサー・英梨々は負けることで完成する/劇場版「冴えない彼女の育てかた Fine」感想
おはようございます。シナモンルシファー鈴木と申します。
先日
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1.ワオの推しキャラは澤村・スペンサー・英梨々(通称・澤スペ)だった
鑑賞前に予告編を拝見したのですが、その中で伝わってくるメッセージといえば
「主人公くんと加藤恵の関係に決着をつけるデ。」
「そのための手段としてガンガン恵ちゃんを曇らせていくデ。」
「ふたりは最終的に付き合うデ。」
「↑これらに尺を割くからほかの女の子は無視させてもらうデ。」
と、こんなものでした。
私の推しキャラは澤村・スペンサー・英梨々という女の子で、まあ加藤恵ちゃんに興味がないことはないのですが何にお金を払うか?と問われたら答えは
「青春時代の私の心を揺さぶった『冴えカノ』の最後はどんな感じか見届けたい」
「澤スペがどんな行動をとるか知りたい」
が6:4くらいで占めていました。
そんな感じで映画館に殴りこみをかけ、着席しました。
2.澤スペ「私のこと、好きだったあ~!?」主人公くん「知るかよ……そんなもん……」ワオ「ンナモンシルカァー⤴w(クソデカ声)」
加藤恵ちゃんと主人公くんが無事付き合いはじめてなんやかんやあった後、主人公くんは澤スペを探します。
ワオ「まあ澤スペと主人公くんは”はやくてうまくて安定したまますごくなれよ”の一件もあったしクリエイターのベクトルのことで言っとくことがあるんやろうな。」
主人公くん「えりり、こんなところにいたのか。」
澤スペ「風に当たりに……ね」
主人公くん「そんなことより聞いてくれwワオ、加藤恵と付き合うことになったんやw」
澤スペ「ほ~んw」
主人公くん「えりり、小学校の頃ぽまえの才能に嫉妬して、ぽまえを追うことを諦めて消費豚に成り下がってしまってしまってごめんな。」
澤スペ「ねえ、主人公くん……」
ワオ「!?」
澤スペ「私のこと、好きだったあ~!?」
主人公くん「……知るかよ……そんなもん……(涙)」
ワオ「なんやこのシーンは? 流石に制作陣の『さあ……泣けやw』という意志があまりにも透けすぎているだろ。
霞詩子先生の言葉を借りれば『ここはあえてたんたんと語ることで』澤スペの発した言葉の意味を読者にしみじみと考えさせるべきだろ。
それともここの制作陣はなんちゃらかんちゃらさんの言っている通り『お前のオナニーを読者に見せつけて』いるんか?
浅い……残念ながら浅い、と言わざるおえん。そもそも文脈が意味不明や。主人公くんじゃなくても『そんなの知るか』といいたくなるな。」
しかし、次のシーンから種明かしが始まります。
そう、実はここから大いなる澤スペパートの始まりだったんです。
3.加藤さん「ワオが普通の女の子だから……主人公くんと付き合えたのかなwえりりは才能ありすぎw」澤スペ「w」
お風呂シーンにもかかわらず唐突に残酷にざっくりと振り下ろされる刃。
澤スペのハートはもうずたずたやが。
あまりにも残酷すぎますよ。
唯一の親友に初恋の相手を取られたあげく、悪気もなくこんなことを言われるんですからね。
しかも自分よりでかいおっぱいを見せつけられながら。
私が澤スペなら「のろけるならよそでやってくれぃ~⤴w」
と小言の一つも言ってやるというもの。
霞詩子先生の『ここはあえて淡々と描写』のひとつのかたちですよ。
サービスシーンに負けヒロインを悪気もなく淡々とぼこぼこにぶん殴るというのは。
これはうまい表現の仕方。いっぽん取られました。
4.霞詩子先生「走り続けましょう。彼は必ず追いついてくる。」
そして澤スペパート最終章ですが。
ここで満を持して霞先生が「えりりの正妻はやっぱりワオ、なんだよなぁ~w」とシュバってくるわけですね。非常に良い。
霞先生「あんたにできることはもうクリエイターとして突っ走ることしかないわ。
それが主人公くんとあんたの今後の関係の築き方。
才能があるあんたには始めから主人公くんと付き合うことなんてできなかったのよ。
走り続けましょう。彼は必ず追いついてくる。」
澤スペ「うぇ~ん(号涙)」
澤スペは非常に愛されたキャラクターですよ。
映画のクライマックスも近い中ここまで気持ちよく泣かせてもらう、というのは。
澤スペは、主人公の幼なじみで、金髪で、ツインテールで、絵がうまくて、はやくてうまくて安定したまますごくて……
でも絵がうまくて、はやくてうまくて安定したまますごくて、才能があったから、最初から大好きな主人公くんと付き合うことは最初からできなかったんですね。
澤スペ。君の運命は生まれた時から決まっていたのか?
君のゴールはどこや?
霞先生「走り続けることよ。」
霞先生も残酷なセリフを言う役を押しつけられたものですね。でもこのセリフを言うのは霞先生しかいません。他には考えられません。
澤村・スペンサー・英梨々は負けることで完成する。
劇場版で、霞先生の胸で、朝日を浴びて泣きながら坂道を歩くことによって完成するんです。
5(終).『blessing softwareは、終わらない』
この映画のキャッチコピーは『blessing softwareは、終わらない──』というものですが、
そんな無責任なこと言わないでよ。残酷すぎるよ。
だって……澤スペ、君を置いてぼくはどんどん年を取っていく。
いつまでも坂道を歩き続けている君を置いて。
ぼくの年は、もう両手の指ではかぞえられなくなっちゃったんだ。
そしていつかは死んじゃうんだ。
あまりにも悲しすぎる。
『blessing softwareは、終わらない──』
残酷だ。