熱湯の試行回数を稼ぐ

私の祖父、ジェームズの一大事

Shadowverse Luna















◆◇◆




「遅くなったけど、そろそろ昼食にするか」



そう独りごち、僕は通りがかりの喫茶店の戸を叩いた。



「いらっしゃいませ♪ お好きなお席へどうぞ〜」



笑顔で僕を迎えたその喫茶店のメイドは―――



「ルナ!? おい! ルナじゃないか!」



シャドバのルナに、よく似ていた。






◆◇◆





「ルナ、こんなとこでなにしてんだよ?」



女の子は困惑した表情を浮かべるが、かまわず続ける。



「ずっと探してたんだぜ。さあ、僕の家においで」



僕は興奮してルナの両肩を強く掴んだ。



「キャー!!」



彼女は突然現れた男の奇行に金切り声をあげた。




茶店の客からの視線が僕の背中につき刺さる。その瞬間、僕は正気に戻った。



「あ……僕は……僕は……」




言葉にならない言い訳をもごもご呟く。体が熱い。シャドバのルナが今ここにいるわけがないじゃないか。




「僕は―――」






◆◇◆





目が覚めた。汚い天井が僕を迎える。どうやら夢を見ていたらしい。




身支度をし、家を出る。ぼくは最後、あの夢の中で、何を言おうとしたのだろう?




外には雪が降っていた。